「ストリートファイター」

 1975年のウォルター・ヒルの監督デビュー作にして出演はチャールズ・ ブロンソン&ジェームス・コバーン!!!
 バリー・デ・ヴォーゾンのカントリーぽくて、それでいて哀愁ある音楽!

 ここに出て来る奴等はアメリカ大不況で職を失った者たち、つまり失業者 で半分ホームレスみたいな者たちなのだ!
 なのにこの誇り高さはどうだ! なんの物怖じもしない堂々とした態度、 敢えて説明しないまでも持っている確固とした人生観。

 コレは日本で失業者と言う言葉から持つイメージとはかけ離れている。ロ バート・アルドリッチのかの大傑作「北国の帝王」と言う失業者が列車への 無銭乗車に命を賭けて車掌と戦う超オモシロ作もあったけど、アメリカの失 業者って強いよね、全くめげていないどころかむしろカッコ良いんだもんな ぁ……。

 この作品は街で殴り合いをしてギャラリーに賭けさせ、金を稼ぐと言う二 人の男の話で、殴りあうのがブロンソン。賭け試合を仕切るマネージャーが コバーン。

 男対男が素手で殴りあうだけの、言わば地味な世界ではあるのだけれど、 この無口で闘うだけのブロンソン!
「男は黙って語る物」と言うその後のウォルター・ヒルテイストは既にここ で完成を見ていたのだ。

 このラスト、半裸の男二人が黙々と殴り合う描写のなんとシンプルでカッ コ良いことか、そこには暗い世の中に負けない屈強な男たちの生き様がある のだ。

 そしてこの作品の後、ヒル監督は「ザ・ドライバー」「ウォリアーズ」「 48時間」……と研ぎ澄まされた男描写で俺等を熱狂させて行くのだ。



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